夜間頻尿・頻尿で困っているあなたへ

夜間頻尿とは

夜間頻尿とは、夜間、尿意を感じ、1回以上排尿のために起きる症状をいいます。排尿に関する症状の中で最も頻度が多い症状です。加齢とともに頻度が高くなり、40歳以上の男女で約4,500万人が夜間頻尿に悩まされています。夜間頻尿により睡眠が妨げられますと日常生活の質が低下します。それだけに夜間頻尿の対策が必要です。
夜間頻尿は、夜間の多尿や膀胱容量の減少などで発症します。中でも膀胱容量の減少をきたす過活動性膀胱が注目されています。

過活動性膀胱(OAB)とその有病率について

OABの年代別有病率

過活動膀胱は、「切迫性尿失禁の有無にかかわらず、通常、頻尿および夜間頻尿を伴う尿意切迫」を特徴とする症候群と定義されています。すなわち、尿が膀胱に十分、溜まる前に膀胱が収縮してしまうために尿意をもよおします。
日本における過活動膀胱については、40歳以上の男女1万人を対象として郵送法で調査したところ、その出現率は12.4%であり、日本全体では約840万人の患者がいることが推定されました。図はOABの年代別有病率を示します。

過活動性膀胱の病態とは

脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものと、それ以外の原因で起こる「非神経因性」のものがあります。 多いのは「非神経因性」 で、その代表が骨盤底筋のトラブルによるもので、女性の場合、加齢や出産により骨盤底筋群が弱くなることで発症します。また加齢に伴う女性ホルモンの低下による膀胱の変化、骨盤底筋の弛緩、骨盤臓器脱により発症します。男性では、前立腺肥大もしくは前立腺肥大による二次性の膀胱変化が原因で、OABの約80%を占めます。一方の 「神経因性」の代表が脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷などの脊髄の障害の後遺症にみられます。鍼治療やセルフケアの対象は「非神経因性」です。ので是非、試みて下さい。鍼治療は効果的です。

脳卒中やパーキンソン病等

脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブル(脳卒中やパーキンソン病等)iにより、排尿の制御ができなくなる。

過活動性膀胱の夜間頻尿・頻尿のセルフケア

女性の場合、加齢や出産、女性ホルモンの低下により骨盤底筋群が脆弱になることにより発症しますので、尿漏れのセルフケアと同様に骨盤底筋体操動をお勧めします。
これに加えて、ローラ鍼による会陰部(外陰部と肛門との間)の皮膚刺激が効果的です。

ローラー鍼

会陰部にローラーを優しくゆっくりと転がします。1分間に10回程度。就寝前に行うだけです。ローラ鍼がない場合、示指と中指を揃えて指先の指腹を使って刺激してください。

ローラー刺激

会陰部へのローラー刺激で膀胱の収縮を抑制することで過活動性膀胱による頻尿を改善(動物実験による)