鍼灸マッサージで“病気になりにくい体づくり” を

鍼灸マッサージで“病気になりにくい体づくり” を

【二段構えの免疫力】

私たちの身体には、自然治癒力という健康を維持増進させる装置があります。また自然治癒力を天然の病院と薬局という譬えもあります。例えば病気になっても自然治癒力にり回復することができます。この装置のお蔭で、我々は日々、元気に過ごすことがるのです。
自然治癒力に関わる身体の装置は沢山ありますか、中でも最も重要な装置が「免疫」です。前号(2号)で説明しましたように「免疫」とは、「自分であるか否か(自己か非自己か)」を選別し、「自己」であれば許し、「非自己」(異物)であれば攻撃します。細菌などの病原体や癌などの異物は非自己ですの
で攻撃して排除して自己を守ります。
この免疫の装置は、自然免疫と獲得免疫の二段構えで身体を防御します。一段目の防御装置は、自然免疫です。自然免疫の役割は、侵入した病原体を迅速に認識して貪食し、さらに感染した細胞を破壊して排除することです。これには、図1に示すように、マクロファージ、樹状細胞、好中球といった貪食細胞が細菌などを取り込んで処理し、がん細胞やウイルス感染細胞などを破壊したり、感染した細胞の増殖を抑えたりします。これらの第一段の防御装置が突破されると第二段の防御装置が働きます。

自然免疫による異物の処理
二段目の暴挙装置は、獲得免疫です。この装置の主役がヘルパーT細胞とB細胞です。これらの細胞により抗体がつくられます。ただし、抗体には色々な抗体かあります。有益な抗体は「中和抗体」であり、ウイルスになどに結合して細胞に侵入するのを防ぎます。またキラー細胞は感染した細胞を攻撃します。上記の二段構えの免疫装置によって、私たちの身体は様々な病原体や異物などの外敵から衛られているのです。

鍼灸マッサージでストレスの緩和と免疫力UPを

鍼灸治療を受けると自然免疫が活性化されます。これまでの研究で、若い「好中球」(白血球が増えること、NK細胞が活発になることが分かっています。すなわち自然免疫力が活発になり、第一段目の防御作用が高まるということです。また鍼刺激でサイトカイン(生理活性物質り一種)を誘導し、ヘルパーT細胞やB細胞の働きを高め、抗体産生能力を高めることが期待されます。

マッサージのリラクゼーション効果

一方、マッサージを受けると不安感は軽減し、リラクゼーション効果が得られます。図2は、脳波トポグラムでマッサージによりリラックスを示すα波と心地
よさを示すFMθ波(頭の真ん中に出現するθ波)のパワーが増加し、深いリラックス状態と伴に心地さが誘発されたことを示します。このような効果は鍼治療にお
いても同様です。リラックスするとNK細が活性化すると言われていますが、マッサージにおいても同様の効果が期待されます。
以上よりリラクゼーションは「健康の素」です。